弥生人の髪型の謎-なぜ美豆良(みずら)?-
魏志倭人伝には、弥生時代終わり頃の倭人の髪型についての記述があります。以下は原文(太字)と訳文になります。
【※引用 男子はかぶり物を付けず、木綿の布で頭をしばる(以木緜招頭) 衣服は幅広い布を(其衣横幅)ただ結んでつないでいるだけで(但結束相連)、縫ってはいない(略無縫)。夫人はかぶり物をし、後ろで髪を結っていた(婦人被髪屈?)※】
男性は普段からターバン、バンダナのような布で頭をまいて隠しており、女性は髪を結っていたようです。
ただ魏志倭人伝はあくまで弥生時代終わり頃の記述です。弥生時代は前10世紀〜後3世紀までと非常に長いので、時期や地域によっても違ったであろうことも頭に入れておきましょう。
土偶に見る弥生人の髪型
弥生時代前半の東日本で見られる、人を模した土偶型容器があります。男女の差が明確になっており、女性像は胸の膨らみが再現されています。そして髪型が男女で異なり、男の方は筒状、女の方はマゲ状の頭をしており、前述の魏志倭人伝の記述と一致していますね。
弥生人の髪型が美豆良に再現される理由とは
ドラマやアニメ、漫画など様々な媒体で再現される弥生人(男性)の髪型として多いのは、美豆良(みずら)と呼ばれるスタイルですね。
美豆良(みずら)とは延ばした髪を左右に分け、側頭部で束ねて折りたたんだ髪型です。古墳時代特有の土器「埴輪」にもよく見られる髪型なので、古代人の髪型のステレオタイプとして定着しています。
「みずら」とは「耳に連なる」という意味